子供向けの作品はシリーズでも各話読み切りとかが多いけれど、その本の2巻と3巻だけは続き物になっていて、10万文字ほどの分量になる。


これは文庫本一冊分の長さと同じくらいだ。


読み応えのある児童書で内容も面白く、私と信行は2巻と3巻の間を何度も行き来した。


私が特に気に入っているのは2巻の半ばにある、主人公が捕まってしまった友人を助け出すシーンだ。


信行が気に入っているのは3巻で一気に謎が解き明かされるシーン。


私達はそれぞれ2巻と3巻で自分の好きなシーンを思う存分楽しんでいた。


そんなときだった。


外から物音が聞こえてきて私は耳を済ませた。


本の外から音が聞こえてくることは今までにも何度もあった。