本のページの終わりを感じたのは、違う空気がこの本に流れ込んできているのを肌で感じたからだった。


ハッとして目を開けるとあと2ページほどで本が終わる。


よかったこれで助かった!


そう思った瞬間気が緩み、歩幅が狭まった。


それを見計らっていたかのように後方から低い声が聞こえてきて、つい振り向いてしまう。


そこにいたのはさっきの女だった。


しかし物語の始まりで見たときよりもその体は大きく、目はぎらぎらと光、爪は鋭利な刃物のようになっている。


物語が進むにつれて凶暴化しているのだ。


女は私に手を伸ばす。


私は女の顔に釘付けになってしまい、足を絡ませた。


その場で転倒し迫ってくる女の手が目前まで伸ばされる。