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活字化して「お」になった私は縦横無尽に本の世界を行き来する。


大好きな冒険シーンに入り込んで主人公たちが目の前で戦っているのを観戦した。


ラストに主人公が無事に家に帰るシーンではその光景に涙が浮かんで来てしまった。


活字になることを恐れてはいなかったが、両親や友人たちと会えなくなってしまうことは少し悲しかった。


だけど悲しさを実感している暇などないくらいに活字の世界は目まぐるしく、色々なことが起きていた。


大好きな本の中を何度も行き来してすべてのシーンを体感した私は、一度この本から出てみようと考えた。


本の活字になると、隣に並んでいる本に入り込むこともできる。