この病院では活字中毒患者の扱いはまるでベルトコンベアーに乗せられた商品のようなものなのかもしれない。


患者はみんな同じ病室へ入れられ、同じ手当を受けて、そして活字化して出荷されるのを待つ。


自分がそんな商品になったような気分で、両親が心配そうに見つめてくる中、つい笑ってしまった。


入院する際に私が選んだのは小学生の頃から繰り返し読んでいた冒険小説だった。


赤毛の女の子が男顔負けな冒険を繰り広げ、沢山の人の手助けをする話し。


冒険小説はこれまでに何百冊と読んできたけれど、結局ここに戻ってきてしまうのだ。  入院して3日目。


私の口に酸素マスクがつけられた。


空気を吸い込む力が弱くなってきていて、呼吸がとても苦しい。


入院した当初から食事は喉を通らず、点滴になっていた。


それでもここまで一気に痩せてしまうのかと驚くほどに、私の体は骨と皮だけの状態になっていた。