そわそわと落ち付かない様子でスマホの画面を無意味に触り、SNSをチェックしてはホーム画面に戻るを繰り返していた。落ち着かないのも無理はない。今日は私の推し俳優の出演する舞台の当落日なのだ。ふるふると胸の奥が激しく動いていて、気持ちが悪い。一刻も早く結果を知って楽になりたいものだ。当落結果の時間が迫ってくるにつれて少しずつ手に汗をかいていき、背中からじわじわと熱くなっていき、大きく呼吸をする。
「あっ……時間だ。」
 結果がわかる時間になった途端、普段まめに開く事のないメールボックスをスワイプさせてメールが届いているか確認をする。倍率が高いと聞いていたのもあって、まだ当落メールは来ていない。……ひとまず、深呼吸をして落ち着こう。胸中ではそんな風に冷静を装っているが、指先は動揺を隠せないで震えている。心は嘘つきでも、体は正直……とはまさにこの事なのかもしれない。SNSで舞台のタイトルにスペースを開けて当選と打ち込んでみると、誰かしらが当たったと報告している内容の書き込みを見つける。届いている人もいる事を確認してから、またメールボックスを開きなおして再びスワイプをした。すると2件メールが新着で届いており、すぐさま2件とも確認をした。1件目はどうでもいいマガジンメール。2件目は本日の大目玉、当落メールだった。
 期待を含め、胸を高鳴らせながらメールをタップし、文章を真剣に読んでいく。読み終わった頃には無意識に笑みを零してしまっていた事を私は気付いていない。
「当たった……!」
 毎度、当たるたびに涙ぐんでしまうのを辞めたいところだ。やっぱりコンビニ支払いからクレジットカード支払いにしておいて良かった、と思うのであった。本当かどうかはともかく、クレジットカードの方が当選確率が上がるというのをサイトで見た事があり、すぐにクレジットカード決済に変更したのだ。