人は違うからこそ惹かれ合うのだと、いつか誰かが言っていた。
私たちは何もかも違っていた。違っているから知りたくなった。

知る事を望みながら、知られる事を恐れていた。
取り繕う為の全てを失って、私の弱さは浮き彫りになる。

泰輝は私の太ももに残る、白くいびつな痕を指でなぞった。私の過ちをひとつひとつ許していくように、温かなキスは何度もそこに落とされる。

私たちは正解を知らないまま、未熟な愛だけを剥き出しあった。この世で一番不確かなそれを、何よりも確かな物だと信じていたかった。

ゆらゆらと揺れ動く天井も、はぐれないように握られた手も、与えられた痛みでさえ、全ては愛しさに満ちていた。
行き先なんてどこだって良い。ただ此処に、私たちだけが存在している。
それだけを確かめ合うように、何度も何度もキスをした。

「柚歌、愛してる」

「私も。愛してるよ、泰輝」

くすぐったいその響きは、いつまでも耳に残り続けた。
シーツの海原を漂いながら、私たちはやがて真夜中の終わりに辿り着いた。