「こーうー!」

後ろからぎゅっと抱きつくと煌は恥ずかしそうにして笑う。

これが毎日の日課。煌が嫌がらないからずっと続けてる。いい歳なんだから、もっと恥を知れ。私が言えたことではないけれど。

「おはよう、さくら」

「なにそれつまんない、もう反応してくれてもよくない?」

「朝からだる絡みしてこないで。俺が反応しないの分かってるからやってるんでしょ」

見透かされた気がして、なんか嫌だから足を蹴る。

「いった!何すんのさ!」

朝からよくそんな声出るなと思うくらいの声で叫ぶ煌を置いて、学校へ向かう。

ポカーンとした間抜けな顔に思わず笑みがこぼれるが、煌は気づかずにしょんぼりしてる。

ごめんよー、と心のなかでは思いつつ、きっと今私は満面の笑みなのだろう。

我ながらひどい性格してるなぁ。