煌を避けるようになってから数日経った時、煌が学校で私を訪ねてきた。

そんな時まで無視するわけにはいけない。

呼んでくれた友達に礼を言って、煌のもとへ向かう。

「さくら、ちょっと話したい。あっち行こ」

「うん。」

廊下の端の広間に私と煌の2人。

約束した手前、藍に申し訳なさを感じながら、話を始める。

「どうしたの?煌」

「最近、俺のこと避けてる?」

さすがに避けるだろうよ。彼女持ちの男なんて。

嘘をつくことはここでは意味の無いことのように感じて、というか、煌の前では私の嘘は本当に無意味なんだ。

昔から、煌は鈍感なくせに私の嘘にだけは鋭くて、毎回説教されていた。嘘はいけないよ、と。

「うん」

正直にそう答えた。