俺はクロスボウに矢をセットして構えた。
『即死魔法』が込められた矢――。
こいつが命中すれば、Cランクモンスターのリトルミノタウロスは70%の確率で即死する。
もちろん、絶対に倒せるわけじゃない。
30%の確率で即死魔法が発動しないわけだからな。
けど、今はそこを考えても仕方がない。
まずは、この矢を当てることだけを考えるんだ。
「落ち着け――」
心臓の鼓動が高鳴る。
集中するんだ。
「外せば、終わりだ。この一発で――ケリをつける」
リトルミノタウロスと俺との距離が十メートルほどにまで縮まる。
相手の体のサイズや突進スピードを考えると、目と鼻の先の距離といっていい。
あと一秒以内に、奴は俺の至近距離まで接近するだろう。
だから――発射のタイミングは今しかない。
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!」
俺はクロスボウで一矢を放った。
赤い魔力の輝きを放ちながら飛んでいった矢は、敵の胸元に吸いこまれるようにして命中した。
「あ、当たった……!」
俺はごくりと息を飲む。
即死魔法の結果は、どっちだ。
七割で即死、三割で未発動。
もし三割の方が来たら、俺にもはや対抗手段はない――。
が……あああぁぁぁ……ぁ……っ。
次の瞬間、リトルミノタウロスは苦鳴とともに倒れ伏した。
「や、やった……!」
無事に即死魔法が発動したようだった。
きわどい戦いだったが、どうにか倒すことができた。
俺はホッとして、その場にへたり込んだ。
強敵を、俺一人で倒したんだ……。
段々と興奮や高揚感がこみ上げてきた。
俺はもう無能じゃない――。
そんな思いとともに。
と、そのときレベルアップを知らせる音が鳴った。
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名 前:ゼノ・フレイザー
クラス:戦士
レベル:38→39
体 力:110/190→195/195
魔 力:0/0
攻撃力:46→47
防御力:50→51
呪 文:なし
スキル:【アイテム交換所】(EXスキル)
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「お、モンスター一体を倒すだけでレベルが上がるのは初めてだな」
さらに、
ぴんぽんぱんぽーん。
何かを知らせるような音が鳴る。
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『アイテム交換所(ランク1)』
交換可能アイテム一覧
・双竜牙剣……魔石R5個と交換
↑new!
・加速魔導装置(ランク1)……魔石R3個と交換
↑new!
・クロスボウ&魔法の矢1本(即死タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法の罠・低級(爆破タイプ)……魔石R2個と交換
・魔法弾・低級……魔石R1個と交換
……etc
※アイテムは随時追加されます。
※交換アイテムが一定数を超えることで『アイテム交換所』のランクが上がります。
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「新しいアイテムが追加されてる!」
リトルミノタウロスを倒したときに、魔石Rを三つ手に入れていた。
『双竜牙剣』は無理だけど、『加速魔導装置』は手持ちの魔石で交換できるな……。
さて、どうするか――。