私は無言で母の顔を見つめる。
母は見ていたアルバムを投げ捨てて立ち上がり、放心状態。
大きな怒鳴り声を耳にした父も、慌てて家の中に飛び込んできた。
立ったまま体を震わせる母を見た父が、私に向かって「何があったんだ!」と叫ぶ。
でも、状況を見て理解したのか、すぐに口を閉ざしてしまう。
「すべて、正直に話すしかないようね……」
母は父に向かって小声で呟いた。
父も「そうだな……」とだけ言って、天井を見上げる。
家具や電化製品、椅子など日用品のない部屋の中で私はすべてを知った。
父は、不倫相手だった今の母と再婚。
私が二歳の時だったみたい。
離婚した前妻との間に、二人の子供を授かったと父は話した。
姉と弟、二人の子供を一緒に育てられないと言う本当の母親の訴えで、父は姉の私だけを引き取り、不倫相手だった今の母と再婚して自分たちの子供のように今まで育ててくれたみたい。
真実を聞いた私は、心が動揺して言葉が出てこないよ……