どうやら絶対服従勧告を忘れていなかったらしい彼は
まもなくして、すやすやと小さく寝息をたてながら眠りに落ちた。
穏やかな彼の寝顔にまで癒されて眠れなくなってしまったあたしは
『鏡張りとか、まじまじみると恥ずかしい~』
こっそりとベッドから出てラブホテル室内の探索を始めた。
『美味しそうなごはん、あるんだ。』
『カラオケまであるの?!・・・女子会で泊っても楽しめそうかも。』
『大人のおもちゃ販売機?!・・・これ、おしゃれ。買って帰ろうかな。』
いつもラブホテルを利用する時には、一晩中、相手の男が満足するまで抱かれ続け、用が済んだらすぐにホテルから出て行っていたから、こんなにものんびり探索なんてしたことない。
『ズブ濡れ男くんはまだ若いんだから、大人のおもちゃとか見せちゃダメだな。』
さっきまで抱かれていた男の夜の過ごし方を心配するなんてしたこともなくて。
初めて道端でズブ濡れ男を拾った夜は
ココロは切なさを感じながらも満たされて
カラダなんかはもっと充分に満たされて
おとなの社会見学までできてしまった
そんなおかしい夜になって。