上半身に巻き付けたバスタオルにタイトスカート姿という明らかにおかしい格好のあたしが、擦りガラス張りのちょっとエッチな浴室から上半身裸にジーンズ姿の彼を手招きをする。

あたしのそんな姿がおかしかったのか
それともこのエッチさ満載の浴室がおかしかったのか
彼は明らかに苦笑いしながら絶対服従勧告に従い近寄ってくる。


お湯がたっぷりと溜まった浴室のジャグジーバスを前に

『はい、回れ右!・・・して準備!』

久しぶりに口にした体育用語とやらで、彼と背中合わせになりながら
準備の意味を理解したらしい彼が躊躇うことなく身に纏ったままだったものを脱いだ。


準備って口にしたあたしが恥ずかしさでまごまごしていたのに
あっさりと準備完了した彼。

『ちょっと・・・ちょっと待って!』

絶対服従勧告、おそるべし



『どういうことかわかってる?』

「・・・お風呂、入るんですよね?」

『そうだけど・・・なんか、仲のいい姉弟がお風呂入るみたいな感じなんだけど・・・』


あまりにもあっさりとお風呂に入ることを確認してきた彼に
つい言ってしまった一言。


「兄妹という関係でも、俺は・・・」


さっきまで淡々と会話してきていたはずの彼が
そのあたしの一言に対して初めて影が差したような返事をした。


気持ちの
そして
想いの行き場のない彼のココロが
ほんの少しだけ見えた気がした。


だからあたしは
彼と背中合わせのまま、スカートとストッキングを脱ぎ
彼の手を引いて、ぼこぼことお湯が沸き揺らめくジャグジーの中に足を入れた。