「やばい、めっちゃ緊張する。」ただ家の中に入っただけで、別に何かいやらしいことをするわけでもないのに、心臓の鼓動が滝の様に聞こえて来る。ここにきて、ふと思ったことがある。
「真美、熱は?」
「あー、治った。ていうか熱と言うよりは、少し気分が悪かったていう感じ。」
「治ったの?」
「うん。愛人が来てくれたから。」
「はっ⁉︎なに言ってんの?」
「嘘に決まってんじゃん。てか、愛人ってそういう返しもできたんだ。メモメモ。」
「そういう返しってなに?あと、何メモ取ってんの?」
「えっ、愛人メモメモの意味知らないの?把握っていう意味だよ。」
初めて知った。だけど、知らないって言ったら今まで以上に、からかわれそうだから言わないでおこう。
「そんな訳ないじゃん。ただのジョークだよ。」
「えっ、愛人ってジョーク言えたの?これまたメモメモ。」
なるほど、そういう返しがあったか。
「もう良いよ。で、なんで家入れてくれたの?」
「なんとなく?」
「は?なんとなくで、女子の家に年頃の男子を入れない方が良いと思うけど。」
「良いの良いの。だって愛人何もしないでしょ。てか、そういうことなにも出来ないでしょ。」
くそ、またからかわれた。こうなったら、
「そういうことって?」
「・・・そういうことは、そういうこと。まあ、とにかく本題に入ります。」
くそ、上手いこと流された。