ボクは言葉に詰まった。安易に踏み込んでしまった自分自身の浅はかさを猛省した。けれど、白石くんは依然としてあっけらかんとしており、



「そんな顔すんなよ」



「ごめん……」



「あ」



「え?」



「そういやおまえ、真夏のあれ、もう知ってるか?」



 真夏のあれ、と言われても、ボクには何がなんだかさっぱりわからなかった。もちろん、白石くんの言う「真夏」が、真夏ちゃんを指していることくらいは理解できる。ただ、「真夏のあれ」となると話は別だ。



 気づけば、真夏ちゃんがボクの前から姿を消して一年が経っていた。



 今、真夏ちゃんはいったい何をしているのだろうか。心の傷は癒えたのだろうか。ボクには皆目見当もつかないことだ。