いったいどうしたというのだろう。疑問符を頭上三十センチに浮かべている間にボクの目の前までやって来た真夏ちゃんは、膝上のスカートを翻しながら後ろを振り返り、



「ごめんね。今日、小秋ちゃんと一緒に帰る約束してたんだ」



 始業式にまた皆、元気に集まろうね。微炭酸のような爽やかさと共に、四天王にそう言い放ったのだ。



 気づけば、四天王の面々が、一斉にボクへと視線を集めていた。



 威圧感たっぷりの視線に耐えながら、ボクは畢生の作り笑顔を浮かべる。すると、スターリンはすぐにボクから視線を外し、少し呆れたような感じでもって、



「真夏、ほんと小秋と仲良いよなあ」



「うん。だってわたしたち、二人で一つだし」



「もうヤッたの?」



「バカー! そんなんじゃないもん!」



 直後、ぎゃはは! という下卑た笑いがこだました。



 本当に下品な奴。ドス黒く渦巻く感情を胸の奥底に抱きつつ、けれども決して口に出すことはない。情けないけれど、ボクは真夏ちゃんの隣でただただ引きつった笑みを浮かべることしかできずにいる。



 それから二言三言交わしたあと、四天王は意外にもあっさりと真夏ちゃんを解放してくれた。