その後少しの間二人で会話を楽しんでいると、そこへ昼食の摂取量の確認と昼食後の薬をもって千夏が入ってきた。

「陽菜ちゃんどう、ご飯食べ終わった？」

「はい食べ終わりました」

「あれ翔さんじゃないですか、もうこっちに来て大丈夫なんですか？」

その時亨は小声で陽菜に確認をしていた。

「陽菜、彼女が千夏ちゃん？」

「そうだよ」

確認が取れた亨は矢嶋に挨拶をする。

「初めまして千夏ちゃん。もう車椅子に乗れるようになったのでこっちに遊びに来ちゃいました」

矢嶋は大ファンである翔に自分のことを千夏ちゃんなんて言われて嬉しく思いながらも、陽菜に対し優しい笑みを浮かべつつもチクリとくぎを刺す。

「ちょっと陽菜ちゃん、一体翔さんに何言ったの？　下の名前では呼ばないようにっていつも言っているのに」

「まぁ良いじゃないの千夏ちゃん」

笑顔を携え横からそう言ったのは亨であった。

「まったくしょうがないわね翔さんまで」

そう言いつつ矢嶋は陽菜の昼食の摂取量を確認しながらも、その表情はどことなく嬉しそうな表情をしていた。