「ところでご両親は元気に暮らしているの？」

「はい両親も実家で元気に暮らしています。たまにこの病院にも見舞いに来てくれますよ」

「そうそれはよかった。ご両親にも会いたいわねぇ」

「おばちゃんが僕の所に来てくれた事を両親に話せばうちの両親も会いたいって言うと思いますよ」

「そうかな？　それより陽菜から聞いて驚いたわよ！　まさかあの翔が亨君だったなんてね」

「自分でもびっくりしています。以前の僕からはこんなことをするなんて思いもしませんでしたから」

笑みを浮かべながら言う亨。

そんな時病室のドアをノックする音が聞こえ、その音に気付いた亨が呼び込む。

「どうぞ！」

亨の呼び込む声に応えるように若い男性が気まずそうにとぼとぼと入って来た。

彼は翔のけがの原因を作ったスタッフだったのだ。

「君か……」

亨がぽつりと呟くとスタッフが小さな声で語りだす。

「本日はお詫びを兼ねてお見舞いにやって来ました。伺うのが遅れてしまって申し訳ありません」

お詫びの言葉を口にしたスタッフは亨の前に着くなりいきなり土下座をする。