「まさかその翔が亨君だったと言うのか？」

「実はそうなの。ここで偶然再会してそれから仲良くしてもらっていたの。あたしも驚いたわ、まさかあの大スターの翔が亨君だったなんて思いもしなかったもの」

「そうだろうな？　俺だって今聞いて驚いたんだから……」

「そうでしょ？　それから彼が退院した後もよく見舞いに来てくれたんだけど、そんな時なの陽菜のドナーが現れたのは。始めのうちは陽菜も移植をためらっていたわ、やっぱり怖いって、あたしも説得したけど駄目だったのよ」

「それなのにどこで考えが変わったんだ？」

「仕方なく亨君に説得を頼んでみたの、何となくだけど亨君の言う事なら聞いてくれるんじゃないかと思ったのよ」

「どうしてそう言う考えになったんだよ」

「あたしも母親よ、あの子が亨君に想いを寄せている事くらいわかるわよ。でもまさかこんな事になるなんて思わなかったけどね」

最後の言葉に父親としての不安がよぎる浩史。