翌朝父親の浩史(ひろし)が海外から帰国するとすぐさま病院へと向かい、息を切らせつつ陽菜のいる病室に飛び込んできた。

「ビックリしたぁ、なんだパパか。突然飛び込んでこないでよビックリするじゃない」 

久しぶりの父の姿に喜びを隠せないといった陽菜であったが、驚きながらも笑顔で怒る陽菜に対し平謝りの浩史。

「ごめん悪かったよ、陽菜の事が心配だったんだ。でも良かったぁ、まだ手術始まっていなかったんだな」

娘と僅かでも会話出来た事に少し安心する浩史。

「それよりパパ来てくれたのね? 別にいいのにお仕事大変なんでしょ!」

「大事な娘の大切な日なんだ、飛んでくるに決まっているだろ?」

「ありがとうパパ」

「そんな事より手術頑張れよ」

「なに言っているのパパ、がんばるのは執刀してくれる先生よ。あたしは麻酔で寝ているだけなんだから」

「そうだけどさあ、でも陽菜には頑張ってほしいんだ」

「分かったわ、あたしがんばるね」

その後陽菜は看護師の手により手術室へと消えていき、陽菜の両親は家族の待機ルームで手術が終わるのを待つこととなった。