高校1年から、なぜか3年間同じクラスだった目立たない生徒。それが、北見 真紘の正体だった。
3年間同じクラスなのにも関わらず私が名前を覚えていなかったのは、北見が私とは真逆のタイプで、決して目立つこともなく、1人で教室の隅にいたからだった。
私は基本的に、他人に興味がない。
私のことを好いてくれる人はもちろん好きだし、害意を向けられたら嫌い。それと同じで、私に興味を示さない人間は、私だって興味がない。
そうやって仲間内だけで構成された小さな輪っかの中で呼吸をしていたから、私が北見のことを知らないのは至極当然のことだろう。
北見の書く小説は、時々小さな賞を受賞しているらしく、ネットでその名前を入力すれば、当たり前のように彼の顔が画面に映し出された。
文芸の世界が分からない私にはそこそこ凄いことに思えるのだけれど、北見が目立たない生徒だったり、そもそもうちの学校に本を読む生徒がいなかったりで、北見が小説家であるということは、誰も知らないようだった。
刺激的だ、と思った。
私だけが、北見の綴る文章を知っている。
北見の小説は内容こそ暗いものの、情景描写が細かくて、例えば空の色だったり、登場人物の服装、街の景色、そんなのがふと頭に浮かんでくるようだった。
私は文を書くのが上手くない。
文字にするよりは口に出したほうが人に伝えやすいし、北見のように綺麗な比喩表現も使えない。
だから純粋に、北見はすごいのだと思う。
だから、北見の才能が愛おしいのだと思う。
3年間同じクラスなのにも関わらず私が名前を覚えていなかったのは、北見が私とは真逆のタイプで、決して目立つこともなく、1人で教室の隅にいたからだった。
私は基本的に、他人に興味がない。
私のことを好いてくれる人はもちろん好きだし、害意を向けられたら嫌い。それと同じで、私に興味を示さない人間は、私だって興味がない。
そうやって仲間内だけで構成された小さな輪っかの中で呼吸をしていたから、私が北見のことを知らないのは至極当然のことだろう。
北見の書く小説は、時々小さな賞を受賞しているらしく、ネットでその名前を入力すれば、当たり前のように彼の顔が画面に映し出された。
文芸の世界が分からない私にはそこそこ凄いことに思えるのだけれど、北見が目立たない生徒だったり、そもそもうちの学校に本を読む生徒がいなかったりで、北見が小説家であるということは、誰も知らないようだった。
刺激的だ、と思った。
私だけが、北見の綴る文章を知っている。
北見の小説は内容こそ暗いものの、情景描写が細かくて、例えば空の色だったり、登場人物の服装、街の景色、そんなのがふと頭に浮かんでくるようだった。
私は文を書くのが上手くない。
文字にするよりは口に出したほうが人に伝えやすいし、北見のように綺麗な比喩表現も使えない。
だから純粋に、北見はすごいのだと思う。
だから、北見の才能が愛おしいのだと思う。
