「初めましてマイクと言います。よろしくお願いします」

「初めましてエリックです。よろしくお願いします」

二人の挨拶を聞き終えた伊藤は部屋のほぼ中央に設置してある古びた応接セットに座るよう促す。

「さぁ堅苦しい挨拶はこのくらいにしてどうぞお座りください」

伊藤が古びたダークブラウンのソファーを指し示すとマイクたちはソファーにゆっくりと腰を下ろしその向かいの席に伊藤が座る。

「では始めましょうか。大まかな話はこちらにいる森宮さんから聞きましたがもう一度話を聞かせて頂いて良いですか?」

「分かりました」

代表してマイクが説明をする。

「僕たち外国人労働者は日本人と同じだけの仕事をし、同じ内容の仕事をしてきました。それなのに僕たちの給料は日本人の半分もない事が分かったんです」

「それはどうしてわかったの?」

「この前の給料日にたまたま僕の前で日本人の社員が給料の紙を落として偶然見てしまったんですがそこには十九万円と書いてありました。それが後になって給料明細だという事が分かったんですが僕たち外国人労働者は誰一人として十九万なんて給料をもらった事ありません。それどころか七万円から八万円くらいしかもらった事がないんです!」

この時伊藤の脳裏にある疑問が浮かんだ。