駆け足でさっきの場所から離れて教室に向かって歩いていると、なんとなくゴミ箱に目がいく。
少し覗いてみると、『五十嵐』と書いてある上靴が捨てられてあった。 

どうすればいいか分からなくて一応ゴミ箱から取り出すと、「あっ!」っと聞こえる。

後ろを振り向くと、いじめられていた人が目の前に立っていた。

体はボロボロで腕からは血が出ていて、目は腫れている。

「はい、これ」
「ありがとう!」

初めて同じクラスの男子と話した。

「血が出てるよ。保健室行かないの?」
「うーん。これって行ったほうがいいのかな?」
「それだけ血が出てるし行ったほうがいいと思うよ」
「わかった!じゃあね!」

高校生とは思えないほど明るい子だった。

話しにくいとは少し思ったけど、別に普通の子だった。

あの人と別れて教室に戻ると、ちょうど授業の始まりのチャイムが鳴った。
慌てて席に戻ると、さっそく宿題になってたやつの提出をすることになった。

さっき、わたしに宿題をやれと言っていた人たちは先生に色目を使って、提出期間を伸ばしてもらうことに成功している。

鼻の下を伸ばしながら、許す先生も気持ち悪い。