ー現在ー

五十嵐くんが作曲した曲、世界中に広まっているよ。

わたしが全然立ち直れなくて結構な年月が経っちゃったけど、そこは怒らないでよ?

五十嵐くん、そっちの世界はどんなかんじなの?

今でも会って話がしたい、映画を観たい、買い物にも行きたい。
君とやりたいことまだたくさんあったんだよ。

だけどうじうじするのも今日で卒業します!

うじうじしていたら、五十嵐くんに心配かけそうだし。

でも先にそっちの世界に行ったんだから、わたしがおばあちゃんになって、そっちの世界に行ったときはお出迎えしてね。

あと、よく頑張ったねって頭を撫でてほしいな。

ピアニストになって君のわがままを叶えたんだから、そのくらいのわがまま聞いてくれるはずだよね。

じゃあ、そろそろ行かないと。
これでもわたしは有名なピアニストなんだからね。

また手を合わせに行くから、そのときにはもっと成長した姿を見せてあげる。

空を見上げると、真っ青な空に優しい五十嵐くんが、笑顔で見守ってくれているようだった。