笹野 凛様へ
これを凛ちゃんが読んでいるということはお母さんが凛ちゃんを家に呼んだのかな。
凛ちゃん、急にいなくなってしまいごめんなさい。
頑張って生きようって約束したのに、先に逃げてしまいごめんなさい。
凛ちゃんの第一印象は近寄り難い人だと思っていたけど、話していくうちに優しい心の持ち主なんだと分かりました。
ぼくがいじめられていて、凛ちゃんも怖かったと思うのに庇ってくれてありがとう。
そんなことしてくれる人に出会うのは初めてで、凄く嬉しかったよ。
凛ちゃんにも言えてなかったけど、人にばれないところで毎日の様にいじめを受けていて、もうぼくの心はポキっと折れちゃいました。
だから先にいなくなったことをどうか責めないでください。
でも凛ちゃんの前でピアノを披露しているときは自由になれていました。
凛ちゃんは演奏するセンスがあるとぼくは思っています。
わがままだけど、ぼくが作曲した曲を弾いて世に広めてもらいたい。
好きって言ってくれてありがとう。
ぼくも凛ちゃんのこと、大好きでした。
あなたに出会えてよかった。
さようなら。
五十嵐 響姫
読み終える頃には涙や鼻水が止まらなくて、顔がぐしゃぐしゃになった。
「五十嵐くんが作曲した楽譜ってありますか?」
決めた。わたしはピアノで五十嵐くんが作曲した曲を広める。
これで恩返しになるんだったらいくらでもやらせてもらうよ。