久しぶりに出た外は、朝だというのに冬のような凍える寒さだった。

住所を確認して、五十嵐くんの家のインターホンを鳴らす。

『はーい』と遠くから聞こえてくる。

「はじめまして。笹野です」

「急にごめんなさいね、響姫の母です。渡したいものがあるから、上がってもらってもいいかしら」

「お邪魔します」

五十嵐くんの家は広くてまだ新築のように見える。

五十嵐くんのお母さんのあとをついていくと、机と椅子しかなくてあまり生活感を感じない部屋に入った。

「ここは響姫の部屋なんだけどね、こんな物があったの」

引き出しから取り出したものは、屋上に置いてあった白い封筒と一緒の物だった。

「宛先を見たら笹野さんだったの。響姫の携帯に電源をつけて連絡先を見たらあったから電話させてもらったわ」

「そうだったんですか」
「これ、読んであげて」

そう言われて、封筒から取り出して読み始める。