意識が朦朧としていたから、家にどうやって帰ってきたのかもわからない。
家の中に入るとお父さんが玄関に立っている。
どうせまた怒られるんだろうな。
でも、今だけでいいから怒らないでほしい。
「凛、学校から電話がきた。それだけ目を腫らして帰ってくるってことは、友達だったのか」
お父さんはいつもより優しいけど、今は話したくもない。
何も言わずに横を通り抜けようとしたけど、止められた。
「ちょっと待て凛」
「何!?いつもお父さんらしいことしてくれないくせに、こういうときばかり良いお父さんヅラするの?毎日わたしに家事ばかりさせてくるし、テストは90点以上取らないと怒ってくるし、もううんざりなんだよ!」
一気に話したから息が荒くなる。
「そうだよな。お父さん間違ってたよ」
「急に何なの?今までしてきたこと許すつもり無いから」
「そりゃあ許せないよな。でも、これだけ読んでほしいんだ」
手渡されたのは、お母さんが書き続けていた少し古いノートだった。
1枚ページをめくると、懐かしい優しい文字で書かれている。