作曲家になりたかったきみへ


次の日、起き上がるとだるさと寒気が襲いかかってきた。
下におりて熱を計ると38.7もある。

学校に休みの電話を入れて自分の部屋に戻ろうとしたとき、お父さんが出てきた。

「お前は何をやっても完璧にこなせない駄目なやつだな」

とだけ言って家を出た。

最低過ぎて怒る気力もなかった。
ただ呆気にとられることしかできない。

小学校、中学校、高校ときたけど初めて学校がある日に休んだ。

何だか罪悪感で押し潰れそうになる。

布団に入って目を瞑ると、あっという間に夢の中へ入り込む。

具合が悪いのと、最近徹夜でテスト勉強していたからかな。

夢から覚めると既に空がオレンジ色に染まっている。

お腹が空いて冷蔵庫の中をみても、何もない。

わたしが買い物に行っていないから当然でもあるのか。
諦めてまた寝ることにした。

目を覚まして時計を確認すると、朝の6時だった。
昨日とは違って体もだいぶすっきりしていて、熱も下がったように感じる。

一応熱を計ったけど、平熱に戻っていた。

お父さんとも話したくないし、ご飯もお弁当も作らず家を出る。
コンビニに向かっている途中、お父さんに昨日言われたことが頭の中に響く。

お父さんが言っていることは正しい。

わたしは頭が良くても、毎回1位を取ることができないし、運動にしても大会ではほとんど2位だった。

だからわたしは中途半端な人間なんだろうな。

「笹野さん!おはよう」
「あぁ、おはよ」 

ぼーっとしていたら目の前に五十嵐くんがいた。

「体調大丈夫?何かぼーっとしている感じだったけど」
「うん、大丈夫だよ」

2人でコンビニに入っておにぎりを買って公園のベンチで食べ始めた。

「笹野さんは凄いよね。ぼく尊敬するよ」

「うん、嬉しいけどわたし凄くなんかないよ。何ごとにもすぐに逃げているし」

「え?」

「わたし、友だち作るのが苦手で話しかけられても逃げたり、思い通りにならないと話さずに逃げちゃうんだよね。だから自信なんてわたし全く無いんだよ」

改めて認めようと思うと心が少し痛くなったけど、軽くなった気もする。

「お互い頑張ろう。こんな汚い世の中でも生きないといけないからね」

「頑張れるのかな。じゃあまた愚痴聞いてくれる?」

「もちろん。いつでも待ってるよ」

わたしたちはまた小さな希望を求めて歩き始めた。

と思っていたのはもしかしたらわたしだけだったのかもしれない。