帰っている途中も少し不安になったけど、誰かとちゃんと話せることが嬉しかった。

もう10月だから18時には空が暗い。
遅くはなったけどまだお父さんは帰ってきていないだろう。

そう思ったけど、答えは真逆だった。
家には小さな光が1つ点いている。

玄関の扉を開けて中に入ると、そこにはお父さんが立っていた。

「凛、今何時だと思っているんだ」
「まだ18時半じゃん」

お父さんは明らかに不機嫌な態度を示してくる。

「テストはいつからなんだ」

「明日からだけど」

「今まで何してた」

お父さんは180センチを越える身長だから圧がすごい。

「図書館で勉強してた」

わたしは咄嗟に嘘をついてしまった。

「ふんっ。なら良い。早く夜ご飯作れ」

何なのその態度!
どうしてわたしより早く帰ってきているのに家事をやらないの!?

やってくれてもいいじゃん。

鞄を自分の部屋に置いて料理に取り掛かる。

麺を茹でてるとお父さんが部屋から出てきた。
丁度出来上がるときになって部屋から出てきやがって。

呆れながらも二人でご飯を食べるのがルールだから、わたしも椅子に座って食べ始める。

ラーメンをすする音しか部屋には響かない。

でも味噌のいい香りとガツンとくるにんにくが堪らなく美味しい。

「勉強はどうなんだ」
「別に。いつも通りだよ」

「今回は学年1位取れそうか?」

うざいほど1位にお父さんは執着する。
だったらお父さんの過去の成績を見せてほしいくらいだ。

「そんなの分からないよ。ごちそう様でした」

口を開けば勉強ってうるさい。