それにより杏奈の緊張はかなりほぐれることとなった。

「よーし、それじゃあ着替えてみようか。プロのメイクさんにばっちり決めてもらいな」

「はい、行ってきます」

「杏奈ちゃんこっちよ、ついて来て」

メイクを担当する飯田や衣装の結城に案内してもらいながら楽屋に向かう杏奈。

「わあすごーい、撮影スタジオの楽屋ってこうなっているんだぁ」

その楽屋には遥翔が言った通り衣装が何着か用意してあり、その上普段島にいた頃の杏奈にはなかなか着る事の無い様なかわいい服ばかりが揃えてあった。

「どの服も可愛い、ここにある服着て撮影するんですか?」

「そうよ、あなたの写真を見せてもらってイメージに合うものを選んでみたの。とにかくどれでも良いから気に入った物を選んで着てみて。サイズが合えばいいんだけど」

「はい着てみます。でも気に入ったのと言われてもどれもかわいくて決められないなぁ」

杏奈がうきうき気分で衣装を選ぶと、淡いラベンダー色のワンピースに目が留まった。

「これにします」

「やっぱりそう思う? あたしもこれが一番いいと思っていたの、早速着てみて」

結城のその声にわくわくしながら着替える杏奈。