誰にも言えない。 この気持ちは、誰にも。 友達は沢山いた。 親友には何だって話してきてこれた。 何だって相談できた。 秘密なんて、何一つなかった。 ……この気持ちを知るまでは。 優しくって、暖かくって、苦くて、甘い。 自分の中に生まれた小さくて大きな感情に囚われる。 真っ白だった心が、少しずつ、色を変えていく。 単色から色を重ねて、複雑に色味を増していく。 美しくも、醜くも、混ざり合うなかで知っていく。 それは“大人になる”と言うことと、もしかしたら、同義なのかもしれない。