「ありがとう。
絶対に電話しない」

私はそう言うと、早暮くんの手から紙を受け取った。

「風堂さん。早暮くん。
その紙、大事にするんだよ」

私達のやり取りを静かに見守っていてくれた間嶋先生が微笑む。

「はい」

「大事にします」

一生。



「やるか!」

早暮くんが椅子に座る。

「何を?」

「数学の問題だよ。
最後まで解いてから帰る」

閉じた教科書をまた開いた早暮くん。

「最後まで教えろよ」