そうしている間に愛の手の力が抜けて、勢いよく空気を吸い込んだ。


泥臭さが鼻腔を刺激して、情けなさに涙が出た。


顔は泥だらけ、制服も泥だらけ。


その上3人の笑い声が聞こえてくる。


私がなにか悪いことした!?


そんな疑問を投げつけたかったが、声は涙で濡れてまともな発音にもならなかった。


「青木を使って反撃してきたら、これくらいじゃおかないから」


恵美は舞の体から立ち上がると、泥だらけの舞の前にしゃがみこんだ。


そしてその顔を拳で殴りつけたのだ。


衝撃を受けた舞はうめき声をあげて転がる。


痛みが駆け抜けて口の中には血の味が広がる。


油断していたから、口の中を切ってしまったのだ。


悶える舞を残して、3人は公園から立ち去っていったのだった。