これってまるで、私が青っちを好きみたい?


昇降口までやってきてふとそのことに気がついて、頬が熱くなるのを感じる。


舞は頬を両手で包み込むとブンブンと左右に首を振った。


青っちとは久しぶりに合って、昔とのギャップに驚いているだけだ。


それに加えて愛の言ったあの噂話のせいで、妙に気にしてしまっているに過ぎない。


自分自身にそう言い聞かせて足早に校門を抜ける。


のんびりすればするだけ、青っちのことを考えてしまいそうで、そんな自分が少しだけ怖かった。


足早のまま家に向かおうとしたとき、電信柱の影から誰かが出てきて舞は足を止めた。


それが3人組だと理解した瞬間、体の力が抜けていくような感覚があった。


同時に胸の中には嫌な黒いモヤが広がっていく。


「舞、偶然だねぇ?」


どう見ても帰宅途中の舞を待ち伏せしていたのに、恵美はそう言って微笑んだ。


「なにか用事?」


普通に質問したつもりなのに、声が掠れてしまった。


情けない声になったことが悔しくて下唇を噛む。