「私に構わないでって言ったの!」


「なにそれ? どうして?」


青っちはまるで子供のように首を傾げ、せわしなくまばたきを繰り返す。


それは青っちが困ったときのクセだった。


小学校4年生の頃から変わっていないその仕草に、舞の胸が締め付けられる。


本当は昔みたいに戻れたらいいと思っている。


青っちを突き放すことなんてしたくない。


でも。


こうして一緒にいることで、青っち本人に危害が加わることもあるかもしれない。


いろいろなことを想定して考えれば、やっぱり舞と青っちは一緒にいない方がいいんだ。


胸が苦しくて言葉にできないでいると、青っちの唇が頬に近づいてきた。


なにするの!?


と、反発するより前に叩かれた頬にふぅと息を吹きかけられた。


青っちの温もりに言葉が消える。


「これでもう大丈夫だから」


そう言い、何度も息をふきかける。


その仕草に舞はまた小学校4年生の頃のことを思い出していた。


あれは学校から帰っている途中だった。