舞は答えられない上、3人と至近距離で目を見交わすことすらできない。


「あれ、これどうしたのぉ?」


わざとらしい声でそう言ったのは3人の中では一番背の低い星野淳子(ホシノ ジュンコ)だった。


淳子はゆるく巻いた髪の毛をツインテールにしていて、まるでアニメの中から出てきたような雰囲気だ。


「本当だ。大丈夫?」


くすくすと笑いながら淳子の言葉に反応したのは大下愛(オオシタ アイ)。


愛はショートカットでボーイッシュなイメージの生徒だ。


この3人はいつでも一緒にいる。


「ねぇ、聞いてる?」


恵美が高い背を曲げて舞に質問する。


舞は恵美の視線から逃れるように視線を外して、自分の机を見つめた。


茶色い木目の上に黒いマジックでラクガキがされている。


バカとかアホとか、小学生レベルのイタズラだ。