誰もいないベッドの布団が膨らんでいたり、誰もいないのに花瓶の花が空中に浮いたりする動画になった。


『これが透明になるということ。私はもう二度と、自分の顔を自分で見ることもできない』


誰もいない空間から声が聞こえてきて、動画はそれで終わった。


青っちもいずれこうなってしまう。


そう遠くない、きっとごく近い未来。


舞が病室へ行っても姿は見えなくなってしまう。


そう思うと途端に強い恐怖が舞を襲い、スマホを投げ出して頭から布団をかぶった。


青っちを見ることができなくなってしまう。


自分から青っちにふれることも難しくなるかもしれない。


青っちを探すことも困難だ。


そう思うと体が震えた。


随分泣いてきたはずなのに涙がとめどなく溢れ出してきて止まらない。


舞は布団の中で体を丸めて自分の体を抱きしめるようにして、いつまでも震えていたのだった。