「よかったらさ、毎時間貸そうか?」
「えっ、いいの!ありがとう!嬉しいよ杏」

喜んでくれてよかった。だめだ、このままではもっと太陽君のことが好きになってしまう。

 一時間目の授業中、私は斜め前あたりにいる太陽君の背中をチラチラ見ていた。すると太陽君が後ろを振り向いて私にウインクしたのだ。これは夢じゃない現実だ。私の頭は大パニックを起こしていた。まさかあの太陽君が私にウインクを、とんでもないサービスを貰ってしまった。

「中本、早くプリント取れよ」
「あ!ごめんなさい」

太陽君が後ろを振り向いたのはプリントを配るためだったんだ。でもウインクは確実に私の為だよね。