「小さい頃から手術と入院続きでさ、つまんなかったよ」
あっけらかんと言う彼女の笑顔は眩しい。
「あ、私の主治医、藤田くんのお父さんだよ。お世話になってまーす!」
「そうなんだ」
まさか、元クラスメイトを親父が担当してたとは。
親父は心臓外科だから、安西菫は心臓が良くないらしい。
「中学って義務教育だから、行ってなくても卒業できるんだよね」
「今は?」
「通信制の高校に通ってる!」
「あ、そうじゃなくて病気は…」
「おかげさまですっかり安定して、2週間に1回の通院だけで大丈夫。
病院来たついでに、たまに屋上に寄るんだけど、まさか自殺しようとする先客がいるとはね!」
「だから、そうじゃないから!」
純粋で無邪気な彼女のペースに乗せられる。
ほとんど話したことないとは思えないくらい、話が弾む。