「はぁ……」
大きなため息をついて、屋上の硬いアスファルトの上に寝転がった。
沈んだ気持ちとは裏腹に、初夏の風が気持ちいい。
「藤田くん、このままだと卒業はおろか、進級も危ないよ」
担任の声が頭に蘇る。
クラスで下から2番目の成績。
医大附属の難関私立高校だということを差し引いても、やばい。
高校2年生になって、受験もチラついてきたけれど、一向にやる気が起きない。
フェンスの下に広がる街は、いつもと何も変わらない。
親に失望されても、勉強に落ちこぼれても、医者になれなくても、世の中は回っていく。
もういっそのこと高校なんて退学して、受験もしないで、全く違う人生を歩みたい…