改札を出たところで、目に入ったものに思わず顔をしかめる。

 先週は別のものがあったはずだから、週末に貼り替えられたのだろう。

 幅のあるコンコースは通勤時間ということもあり、職場や学校へ急ぐ人々がほとんどだ。周囲の景色に意識を向ける人はほとんどいない。
 けれどその中に、立ち止まったり写真を撮ったりしている数人の女性の姿があった。彼女たちは揃って同じ壁の方を向いていた。

 その様子に、反射的につけていたマスクの位置を直す。そうして彼女たちの横を足早に通り過ぎながら、ぼそりと零す。

「……くそったれ」

 自分とそっくりな顔が載った、バカでかい広告がそこにあった。