何はともあれ、俺は無事に退院することが出来た。


松葉杖片手にヒロシと一緒に懐かしいアパートへ帰ると、人の出入りがなかったためよどんだ空気が流れていた。


小さなアパートでも、やっぱり帰ってくるとホッとする。


俺は窓を大きく開いて、換気扇をつけ、空気を入れ替えをした。


その時だった。


後方からパーンッ!! と、激しい爆発音がしてビクッと体を縮ませた。


「なにしてんだよ」


振り向くとヒロシがクラッカーを持っていて、部屋中に火薬の匂いとテープがまき散らされている。


「退院祝い」


ニカッと笑って言うヒロシ。


なんでこのタイミングでクラッカーなんか持ってんだよ。


と思いつつも「ど~も」と、返事をしておく。


「俺、ちょっと祝い酒買ってくるわ」


そう言って、まき散らしたテープをそのままに部屋を出て行くヒロシ。