それを聞いたのは昼間のリハビリから病室へ戻ってきたときだった。
「待って、それってどういう事?」
「緊急患者を受け入れなければいけなくなったんです。ですから今すぐ退院の準備をしてください」
60歳前後の看護師長は無表情のままそう言ってきた。
「でも、俺まだ入院中――」
「もう充分退院してもいい体です。退院の手続きは済ませているのでさっさと出てってくださいね」
釣り目を更に吊り上げてそれだけ言うと、まるで嵐のように去って行ってしまった。
なんなんだ?
看護師長が出て行った後の扉を呆然と見つめる。
すると、隣の入院患者が珍しくカーテンを開けて話しかけてきた。
「もう退院かい?」
白髪頭に深いシワの入った顔のじいさんだ。
「待って、それってどういう事?」
「緊急患者を受け入れなければいけなくなったんです。ですから今すぐ退院の準備をしてください」
60歳前後の看護師長は無表情のままそう言ってきた。
「でも、俺まだ入院中――」
「もう充分退院してもいい体です。退院の手続きは済ませているのでさっさと出てってくださいね」
釣り目を更に吊り上げてそれだけ言うと、まるで嵐のように去って行ってしまった。
なんなんだ?
看護師長が出て行った後の扉を呆然と見つめる。
すると、隣の入院患者が珍しくカーテンを開けて話しかけてきた。
「もう退院かい?」
白髪頭に深いシワの入った顔のじいさんだ。