「ほんと、ごめんね」


機嫌の直らないお姫様に、どうしたものかと窓の外の月を見る。


すると。


俺の指先にちょんと触れる感覚があった。


見ると、フェンスの間から中指と人差し指だけ出して、俺の小指を可愛らしくつまんでいる。


「私こそ……ごめんなさい」


勝手に、あなたが来るって思い込んで待ってるなんて……。


そう言って、彼女は少し悲しそうに微笑んだ。


そんな表情には華があって、俺は彼女の手を握り締めた。


「俺も、本当はすごくここに来たかったんだ」


「本当ですか?」


「嘘ついてどうするの?」