「あの……本当に、退院?」


「はい。退院です」


大きく頷く鳥越ナース。


「どうして?」


「は……?」


退院と聞いて『どうして?』と聞き返す患者なんて滅多にいないのだろう、鳥越ナースは眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔をしている。


「あ、いや……。わかった、ありがとう」


俺は曖昧な笑顔を見せて、用事を終えた鳥越ナースをさっさと退室させた。


退院……。


こんなに早く?


カレンダーに目をやると、車に大きく跳ね上げられた時から約一ヶ月が経過していた。


もう、そんなに……?