☆☆☆

「おいおいおい、聞けよナオキ!!」


いつものようにテンションが高いヒロシが病室へと入ってくる。


が、俺はボーッと窓の外の風景を見つめていた。


……キス。


しちまった……。


月明かりに照らされる彼女があまりにも綺麗で。


歌姫リナとしてではなく、1人の女性としてリナを見てしまって。


それで、気がついたら――。


キス――。


「キスだよ、キス!!」


バンバンと俺の肩を叩くヒロシ。


そうだよ。


キス、したんだ。


リナの唇、すっげぇ柔らかくて小さくて守ってやりたくて……。