「ごめんなさい、こんなの聞かせちゃって」


気分が落ち着いた彼女が、クスクスと笑いながらそう言ってきた。


「どうして?」


謝る必要がどこにあるのかわからなくて、俺はリナを見た。


「だって、歌詞もメロディも幼すぎて……」


そう呟き、リナはまた笑う。


どうやら、この歌で昔の自分を思い出して笑えているらしい。


「そんな事ないよ。中学生のリナだからこそ作れたんだよ」


「……ありがとう」


この歌詞を書いたときは、初恋もキスもまだだったの。


だからこの曲は、私の理想の塊よ。


リナはそう言って、窓から月を見つめた。