「あの曲、私が始めて自分で作った曲なんです。音楽に興味を持ち始めた中学生の頃に……」


「うっそ!? あれ中学生の時に作ったの?」


「はい」


「マジで!? 絶対才能あるよリナちゃん!!」


お世辞とかじゃなくて。


言葉を探ったワケでもなくて、本心からそう言った。


「あのさ、よかったら……」


「はい……?」


「『ラブリーキス』歌ってくれない?」


「え?」


リナは驚いたように俺を見つめて、「ここで、ですか?」と、聞いてきた。


「うん。誰も聞いてないし。それに……リナちゃん、歌いたいんじゃないかなって、思って」


時々テレビで見ていた彼女の姿を思い出す。


どんな曲を歌う時も、心から歌詞を込めて歌っているリナ。


切ない歌詞の時に涙を流し、楽しい歌詞の時は笑顔になる。


この子、歌が大好きなんだなって思ってたんだ。


「歌っても……いいですか?」


「もちろん」


俺は笑顔で頷いた――。