見た目とは裏腹に少し熱いくらいの彼女の手の平。


柔らかくて、華奢な感覚が頬に焼きつく。


小首をかしげて「熱があるんじゃないですか?」と聞いてくる彼女から、俺は咄嗟に後ずさりして離れていた。


その瞬間、彼女は驚いたような顔をして、「ごめんなさい……」と、俯いてしまう。


や、やばい。


リナに触れられた事で驚いただけなのに、妙な勘違いをさせてしまったようだ。


「あ、あのさ。デビューアルバムの中に入ってる『ラブリーキス』って歌! あれ、いいよね。俺すっげぇ好き」


話題と空気を変える為に、俺は今日聴いて覚えたばかりの曲を話題に出した。


「え……?」


「可愛い曲だよね」


そう言うと、俯いていた彼女は顔を上げて、少し頬を赤らめて嬉しそうに微笑んだ。


「本当ですか?」


「あぁ。あれ、リナちゃんが自分で作詞作曲したんだろ? すげぇなぁって、感心した」