その少女が、俺へ向けてそう言ったのだ。


え……?


「写真は困ります……。やめて下さい」


携帯電話を降ろすと、眉を寄せて金網に手をかける少女の姿があった。


あ……れ?


渡り廊下の中ほどにある窓からの月明かりで、少女の顔がハッキリと浮かぶ。


なにか、どこかで見たことがあるような――…。


「君……リナ?」


俺は、テレビの中で優雅に可愛らしく歌っている歌姫リナを思い出していた。


最近パッタリと姿を見せなくなったリナ。


ちまたでは色んな噂が立っては消えて立っては消えて、結局リナがテレビに出なくなった真実なんて誰も知らない。


「はい」