この扉の向こうに、なにかがいる。


その心構えをして、ノブを回した――。


「あ……れ?」


コンクリートの渡り廊下。


廊下の途中に人の侵入を防ぐようにして存在する金網。


しかし……その向こうには誰の姿も無かった。


「なんで……?」


昨日はたしかにいたよな?


向こうに立って、『誰?』って、そう言ってたんだ。


「あ」


そうか。


相手は幽霊だった。


ってことは昼間の今はいないんだな。